愛する主にある皆さまへ
主の降誕を祝うこの聖なる日を、皆さまと共に迎えられますことを、心より感謝申し上げます。
いま世界の片隅で、またこの国の小さな教会のひとつひとつで、キリストの御名をたたえ、御降誕の喜びにあずかる祈りが捧げられています。この日は、まぎれもなく、神の愛が限りなく私たちに注がれた日であります。
御子イエス・キリストは、天の栄光を離れ、人間となられ、貧しさと弱さを担ってこの地にお生まれになりました。
「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた」(ヨハネによる福音書1章14節)。
この神秘は、神が私たち一人ひとりの痛みを知り、喜びを共にされ、最も低きところにまで降りて来られたことの決定的な証です。
そして、それはすべての人の命と尊厳が、神にとってかけがえのないものであることを、揺るぎなく宣言する出来事でもあります。
この主の降誕の恵みの中で、私たちもまた、新たに召し出されています。いま世界は、戦争や暴力、貧困や孤独、分断や不正の暗闇に覆われています。
しかし、そのただ中に、御子は平和の主としておいでになりました。
「地には平和、御心に適う人にあれ」(ルカによる福音書2章14節)との天使の歌声は、遠い昔の出来事ではなく、まさにこの時代に生きる私たちへの呼びかけであります。
愛は行動を伴うものです。隣人に寄り添い、苦しむ者と共に立つこと、貧しき者の声に耳を傾け、孤独な魂に光を灯すこと。
小さな行いのひとつひとつが、神の国の訪れを告げる種となるのです。
わたしたちは今、この降誕の愛に動かされて、平和の器、和解の道具として歩み出すよう招かれています。
どうか、このクリスマスにあたり、皆さまの上に、豊かな祝福と慰めが注がれますように。
そして、歩みの先に待つ新たな年が、希望に満ち、健やかでありますように、心よりお祈り申し上げます。
キリストの光が、皆さまの心に、家庭に、そしてこの社会に、変わらぬ輝きをもたらし続けますように。
主イエス・キリストの恵みと平和のうちに。
自由と友愛の独立カトリック教会
大主教 佐藤俊介